ユダのニオイ(SB:ユダシン[裏お題])
2006年9月24日 SS【Saint Beast】目が覚めた時、見慣れぬ部屋で驚いたことが数度ある。
今はもう慣れてしまった、部屋。
彼の性格を表すような、整理の行き届いた綺麗な部屋。
彼の匂いが染み込んだ部屋。
「……ん……」
眩しい。カーテンが遮れなかった光が目に痛い。
素肌に触れるシーツの感触が気持ちよく、そこでふと考える。
普段、素肌で眠る習慣はない。
あるとすれば、それは彼の部屋に泊まった時か、あるいは彼が泊まりに来た時だけ。
今回は前者のようだ。
まだ覚醒しきれていない体を少し起こし、ぼんやりと辺りを見渡す。
見慣れた調度品。
部屋の主はいない。
でもまだ、シーツには体温が残っていた。
さっきまで、いたようだ。
体をもう一度ベッドに戻す。
シーツを手繰り寄せ、抱きしめる。匂いがする。
「…ユダ…」
シーツにも、ベッドにも、この部屋全部に貴方の匂いが染み込んでいる。
きっと、私にしか分からない、貴方の匂い。
体格も体力も私より遙かに上の貴方に愛された後は、とても体が辛くなるけれど。
それでも嬉しいから。だから、早く帰ってきて。側にいて。
遠くから足音がする。
貴方の足音。
もうすぐ貴方は私を優しく抱きしめて、名前を呼び、キスをする。
体は平気か、と心配げに聞く。
それから貴方が作ってくれる朝ご飯を一緒に食べて。
幸せの足音が近づくのを聞きながら、シーツに潜り込んだ。
貴方の匂いに包まれる、少し気だるくて、とても幸せな朝。
[END]
今はもう慣れてしまった、部屋。
彼の性格を表すような、整理の行き届いた綺麗な部屋。
彼の匂いが染み込んだ部屋。
「……ん……」
眩しい。カーテンが遮れなかった光が目に痛い。
素肌に触れるシーツの感触が気持ちよく、そこでふと考える。
普段、素肌で眠る習慣はない。
あるとすれば、それは彼の部屋に泊まった時か、あるいは彼が泊まりに来た時だけ。
今回は前者のようだ。
まだ覚醒しきれていない体を少し起こし、ぼんやりと辺りを見渡す。
見慣れた調度品。
部屋の主はいない。
でもまだ、シーツには体温が残っていた。
さっきまで、いたようだ。
体をもう一度ベッドに戻す。
シーツを手繰り寄せ、抱きしめる。匂いがする。
「…ユダ…」
シーツにも、ベッドにも、この部屋全部に貴方の匂いが染み込んでいる。
きっと、私にしか分からない、貴方の匂い。
体格も体力も私より遙かに上の貴方に愛された後は、とても体が辛くなるけれど。
それでも嬉しいから。だから、早く帰ってきて。側にいて。
遠くから足音がする。
貴方の足音。
もうすぐ貴方は私を優しく抱きしめて、名前を呼び、キスをする。
体は平気か、と心配げに聞く。
それから貴方が作ってくれる朝ご飯を一緒に食べて。
幸せの足音が近づくのを聞きながら、シーツに潜り込んだ。
貴方の匂いに包まれる、少し気だるくて、とても幸せな朝。
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